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最終試験くじら


世界は黒くて汚いから
せめて
君だけは……



主題歌の『ディアノイア』は必聴!!

1年前以上の前のゲームだというのに、ようやく終わりました。
久しぶりに心温まる考察ゲーでした。
※以下、激しくネタバレ注意!!

買って入れてずっと放置していたのに、何故やり始めたか、と言うと、
〜昨年11月頃



最終試験くじら 〜Departures〜


へー、FANディスクが出るのかー

なに? 

さっちゃんの「おかえなさい あ・な・た♪ 今日は何にする?」


へー、ほー、ふーん


やっぱりファンディスクやるんら、本編やってないと、ムリだよな、うん。

俺はくじらの謎を解いてやるぜ、じっちゃんの名にかけて!
俺が思ったことは、それ以上でもそれ以下でもない。

ホントだぞ、信じれ。
あの、修正すんなw



ゲーム内容は、と言うと、まったり感あふれる空にくじらが浮かんでいる不思議な街安武市にやってきた旅芸人一座の一人主人公が、知り合う女の子と恋愛関係におちる話。


と見せかけられていて、大どんでん返しが。

実はこの話は、あちこちの攻略サイトや考察サイトでいわれているのだが、

主人公の脳内妄想

だったのであった、というような解釈が。
うーん、確かにそんな感じがしないでもないんだが、私的解釈はちょっと異なっていたり。

睦、胡桃、仁菜、美佳、紗絵の共同幻想(意識の集合体?)

と解釈してみました。
何? 足りない人がいる?
それを考察、解釈していってみようと。


くじらのいる世界
実はくじらのいる世界、というのは主人公の睦と紗絵が主だって(特に紗絵?)作り上げたフィクションの世界である。
OPムービーBパートのラストでそれっぽい表現(紗絵がくじらの入った球体を抱えて微笑んでいる)がされている。
他にも紗絵=くじらの少女、ということから考えると、くじらの世界を司っているのは紗絵なのではないか、と。
胡桃、仁菜、春香のシナリオは紗絵に辿り着くための隠喩である、と。
というのが、

・睦の妹、春香は何かの拍子にぬいぐるみを生み出してしまう体質
・空にくじらが浮かんでいる
・日本なのに「軍」がいる

という、おかしなな部分があるわけで。
睦の表現の中で時々くじらがいなくなったり、春香シナリオで春香がいなくなっているときが睦や紗絵の住んでいる本当の世界、ということである。
シナリオを追って検証してみたい。


御影仁菜
3年生(何の3年生かは突っ込んではならないw)なんだが、スクール水着とメイド服が死ぬほど似合うw 仁菜先輩。
実はVIPPERかもしれないw
7/19にくじらの見える丘公園で「ぶぅ〜〜〜〜んっ!!」なんて言っているしw
………すいません、もう言いませんorz

紗絵シナリオに続くための鍵の一人。
仁菜先輩シナリオは何の暗示があるか、というのは「過去の出来事からの新たな再生」と。
そしてくじらの存在は「閉じた世界」の象徴の役割を果たしているわけで。
仁菜先輩のくじら世界での過去は、背中にくじらのかけらが埋め込まれているため、安武市の病院で検査を受けていた。
その時に性的虐待を受けていた、という表現がなされているが、これは二通りの解釈があって、
・現実世界の仁菜の親からの(性的含む含まずどちらかの)虐待
・紗絵の病院に関する嫌悪感(※戻るところが病院しかない。医療関係者に邪険に扱われていた等)
の二つのどちらかじゃあないかな、と。
それで心を閉ざしてしまって、くじらを目指す、と。
多分この二つが重なったんじゃあないかな、と。
現実世界の仁菜に対する描写が希薄なので何とも言えないが、くじら内での説明の通り恐らく家庭不和に基づいて虐待され、独白の通り友人もおらず、人間不信だった、と。
そこで最後に仁菜が閉じた世界を目指したのだが、睦の力で閉じた世界から引き戻される。
最後に、過去の自分と決別して、新しい道を歩もうとする(親との和解、儀式、睦との婚約等)
多分これが紗絵シナリオへ繋がる鍵じゃあないか、と。

ただここで疑問なのは、仁菜が何故「くじらのかけら」を持っていたか、ということなんだよねえ。
くじらに届くためのかけら。
ちょっとこれが心残りだったり。




榛原胡桃
鍵の二人目。
えー、シナリオが………ラ○ュタですw
いや、そうとしか言いようがありませんw
けど、これもどこかである一文をちょろっと読んだときに思い当たったものが。

胡桃がコスプレしちゃうぐらいのアニメオタクで、ラ○ュタを見ていたから、ああいったくじらの中を目指すシナリオになったんじゃあないのか(というニュアンスの記述)

あ、なるほどー、と思わないでもなかったり。
くじらがあの世界の意識の集合体的な役割を果たしている、と思えば確かにそういう結論が出ても不思議じゃないんじゃあないか、と。
途中胡桃が眼鏡をくじらの少女から受け取るシーンがあるのだが、アレが何か重要な意味合いを持っているような気がするのだが。
と思ったら、最後に眼鏡を返すわけで。
その時にくじらの少女はいう。

「……あなたの幸せは見えたけど、私の幸せは見えなかった」

これは胡桃と睦の「この世界」での幸せな想い出、ということなんだろう。

「世界の崩壊……を私は望んでいる」

つまりここで睦が自分の元(=紗絵)に辿り着けなかった、ということで世界(=くじらのいる世界)を再構築してやり直そう、ということなんじゃあないかな、と。
後この台詞以前に「世界の崩壊は始まった」と言っているから、睦が紗絵に気付いて、自分一人ではこの世界にとどまり続けていたのではこの世界が続いたままだから、睦にこの共同の幻想世界を崩して欲しい、という隠喩だろうと思われる。
この改変された現実でない世界を、と。


夢前春香
鍵の3人目。
胡桃シナリオで指摘したように、この改変された現実でない世界、というのが一番よく判るのがこのシナリオ。
のっけからなんだが、二回ほど読み直して分った結果を書くと、

・くじら世界の春香は睦自身による紗絵と「姉」の春香を元にした改変した人物
・春香はもうこの世にはいない

この2点が謎解きではないか、と。

まずプロフィールを見てみよう。
春香くじらの少女=紗絵
体格がうり二つなのである。
対照的なのは、髪の色とロングかショートか。
恐らく「姉」であった春香がショートだったのではないか、と。
その姉だった存在が何故妹なのか?
これは恐らく姉だったのだが、姉の年齢を超えてしまったため、妹だ、と認識するようになったのではないか、と。
そしてくじらの少女が舞台で睦に問いかけた台詞からもそれは見て取れる。

「あなたの心の中に……あの人は居ないの? あの人と過ごした日々、その記憶……あなたの中にあの人は生きていないの?」
(中略)
「今のあなたは……ただ目を閉じて……これ以上傷つくことを恐れて……好きになった人との想い出までも、封じようとして……」

昔優しかった姉(恐らく年が結構離れていたっぽい)と紗絵と楽しく過ごしたの記憶を混同させて、これ以上心を傷つけないようにして自分の構築する世界、睦主導のくじらの世界、で生きていくことを表している。
また時折春香が息をしていない、という表現があるが、それは暗に春香はもうこの世の人ではない、ということはうっすら自覚している、という隠喩ではないか、と。
そしてしろたまがぬいぐるみに戻ってしまう、というのは、紗絵との想い出も断ち切ってしまう、という象徴であろう、と。
最後の新劇『雪蝉』の劇中で春香はもう既にこの世の人でないことを睦は思い出す。
また春香シナリオだとくじらの少女が死んで、さえシナリオでは春香が突如居なくなる。
つまり、「睦は春香との記憶と妄想の中の閉じた世界を選んだ」というエンド、になっているわけで。

そしてくじらの少女(≒紗絵)は言う。

あの人に、優しさをあげよう。
あの人が、いつまでも人を思い遣れる様に……。
あの人に、暖かさをあげよう。
あの人が、冷たい人にならない様に……。
あの人に、強さをあげよう。
あの人が、くじけない様に……。
あの人に、私の大切なものをあげよう。
あの人が、道を違わぬように……。
そしてあの人が、いつか、私の元へ辿り着ける様に……。

睦が本当に進んでくれるはずの道を違えてしまったことに。

こう考えてしまうと、かなり落ち込むエンドやね。
というより、そういう解釈に至ってしまったわけですが。


茂木美佳・優佳
特にくじらシナリオとは大きな関わりなし。
ただ、美佳が自分が女らしくないコンプレックスから、優佳という自分自身をいさめるような存在を求めたとこから優佳は生まれたのじゃないかな、と。


名雲さえ(≒名雲紗絵)
くじらの少女にアホ毛がついているw
くじらの少女=静、理とするなら、名雲さえ=動、感情といった感じで。
中間試験いるかで、さえ=紗絵の潜在的無意識みたいな表現もされているわけで。
くじらの世界、というのは、睦と紗絵が作ったことが明らかになる。
(絵本を睦が回収した翌日その家がなくなっている、家庭科料理室の女の子達が消えてしまう等)
そしてお互いが大切な記憶に辿り着く、という。


Departuresに付属しているProgressive(※くじらのプロローグ)を一回やってみたのだが、くじらの世界はあくまでも、紗絵と睦の記憶と理想をベースにした繰り返しの世界だ、ということに気付く。
空に浮かぶくじらは、紗絵の背負っていたくじらのリュック、そして毎日付けていた記憶ノート。
幼い頃、二度の出会いと別れを繰り返して、それを思い出す(させる)ために作り上げた二重構造の世界。
だから紗絵の場合、二度の出会いを繰り返さないと睦に再会できない、という解釈になって、「さえ」という別人格を生み出したのではないか、と。
そして最後に紗絵に辿り着いてくれた睦のことを感じて、くじらの世界は崩壊を迎える。


ただ解消されていない伏線がいくつかあって、


・春香がどうしてぬいぐるみを生み出すのか?(←これは最後睦に託されたウサギのぬいぐるみと関わりがあると思う)
・仁菜先輩シナリオでは、くじらが残ったまま
・春香シナリオのラストでは、睦は閉じたままの世界の住人になってしまったのか(ラストのトラックで街を出て行くのは、紗絵との別れと、現実世界との別れ?)
・ラストの「温室育ちだった〜」ということから、睦も何かの病気だった?


他にも探せば出てくるんだろうけど、何かこの辺が気になるなあ、と。

一番お勧めのシーンはProgressiveの紗絵の病室見舞いのシーン。
すごいやるせない気持ちになれること間違いなし。
あの一枚絵は……一番破壊力があったな。


まあそんなこんなでかなりネタバレ風味で解説をしていったわけなんだが。
我ながら久しぶりにこんなに長いレビューというか、考察を考えたもんだ、と。
それだけ分奥深かった、と思って貰えれば。


実際人に勧められるかどうか、というと、好きな人は好きかなあ、と。
俺はかなりよかった、と思う部類で。
主題歌のディアノイアとさっちゃんこと紗絵が、と思って始めてみたんだが、よかったと思ったり。


これで安心してDeparturesに嵌れるぞ、とw